|
2016年 05月 05日
丸の内の、出光美術館50周年記念「美の祝典」展に行きました。5月8日までです、お見逃しなく。 ゴールデンウイーク中ですが混雑は無く、丁寧に出迎えていただきました。 入口から、大変素晴らしいやまと絵屏風の贅沢な展示に、心奪われました。映画のワンシーンのような、展示空間でした。 今回、室町期の重要文化財の「日月四季花鳥図屏風」の本物を初めて見ました。大学時代のやまと絵屏風の研究の中で、とても気になる作品だったのですが、実物に接すると、隅々まで迫力に満ちた堂々とした作品でした。日月が、立体に盛り上げられていて驚いたのですが、金属板の貼付けだそうです。本来、使用しない時には折りたたむこと前提の、屏風にはありえない技法です。 箔の装飾の仕方も、自由自在な形状で配され、少々大袈裟に感じさせるほど、豪華絢爛でした。ですが、全く嫌味はなく、詩的で、高い品格ある作品でした。 いったいどのような目的で制作されたのか、謎の多い屏風です。 「吉野龍田図屏風」も、初見でした。日本らしい装飾的な感性が如実に現れていて、国際化の進むいま、改めて見直されていい力のある作品に思いました。 ここから、重要文化財が、「橘直幹申文絵巻」、「佐竹本三十六歌仙」、俵屋宗達の「西行物語絵巻」、「絵因果経」と続きます。 「橘直幹申文絵巻」も、初めて目にしました。 伴大納言絵巻の流れを組む宮廷絵師系の作と思われます。繊細に作り込まれた絵巻です。鎌倉期のものですが平安期のムードがあります。 「佐竹本三十六歌仙」は三十六歌仙としては最古のものであり、数ある歌仙絵の中で、最も格調高く洗練されたものとも言われています。それぞれの個性に合った、端正な線描が美しいです。立体的な存在感があるので、模写をする際には裏具(紙の裏からモチーフの裏に胡粉を引く)を用いることが多いのですが、実際にはどうなのでしょうか。 「西行物語絵巻」は数ありますが、宗達のものは、御簾越しの金泥が美しく輝き、とても華やかで、歌仙絵のような特殊な構図で描かれていました。宗達による模本だそうですが、失われた原本がどのようなものであったのか、とても興味深いです。 (後半は次回に続く)
by hiro-ikegami
| 2016-05-05 18:04
| 展覧会鑑賞
|
ファン申請 |
||