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2008年 07月 24日
研究用に一部骨描き。 ―中国古代神仙思想②― 馬王堆漢墓より出土した品々は、画面に描かれる利蒼夫人の、まさに動き出さんばかりのミイラなど、世界中を驚愕させた、技術、文化水準を示します。 この時代中国では、すでに、郡県制、封建制が整い、支配者階級により、技術を尽くして、巨大な墓が次々と築かれました。 画面は一号墓出土のT型帛画部分ですが、全面を埋め尽くされた神霊、神獣の類(月に住むという玉兎、蟾蜍、鳥人、三足烏、鳳鳥、龍…)が圧巻の作です。 日本ではあまり一般には知られていないのが大変残念です。 今後、さらに掘り下げて研究していきたい、魅力と謎の多い作品です。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 1972年湖南省長沙、馬王堆より出土。墓全体は、丞相、軑候とその妻子の墓。 一号墓は夫人、利蒼のもの。 帛画の内容は、三層にわかれ、それぞれ天界、地上、地下をあらわす。 楚国より引き継がれた、南方の神仙思想をあらわす。 屈原『楚辞』、『山海経』、『淮南子』など参照。 崑崙山への魂の昇仙を表現。 描法は、薄墨による起稿の後、彩色、最後に墨線を起こす。 線描は十八描法(高古游絲描、琴弦描、鉄線描、行云流水描、马蝗描、钉头尾描、混描、撅头描、曹衣描、折芦描、 橄榄描、枣核描、 柳叶描、战笔水纹描、减笔描、枯柴描、蚯蚓描中)中の“高古游絲描”とよばれるもので、柔軟な、細い線で描かれる。 後の東晋、顧愷之の“如春蚕吐絲”(春蚕の絲を吐くが如し)と呼ばれる線描に通じる。 使用顔料 鉱物系:朱砂(辰砂)、土紅(代赭?)、銀粉(銀朱?) 植物系:青黛(藍)、藤黄 他 蛤粉(蛤胡粉?) 以上、文献上の表記に従ったが、臙脂系の染料?(基底材の深い朱色)、辰砂、蛤粉、藍、藤黄使用か? 分析結果を待ちたい。 彩色は平塗り、没骨、渲染(立体表現にそって染め付けられている)など。 濃彩の技巧としては、かなり完成している。 参考文献:中国歴代絵画図録 林樹中 1981 天津人民美術出版社 中国のあけぼの 貝塚繁樹他 1989 河出書房 ランキングに参加しています。1クリックお願いします。
by hiro-ikegami
| 2008-07-24 21:17
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