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2014年 09月 19日
絵絹の張り方について。 本に書かれている方法では、どうもうまくいかないという方に、嵯峨芸大の古画修復工房で、当時、私が先輩方に教わった方法を書きます。 私の学生時代、嵯峨芸大の古画修復工房では、3回生以上になると、半年~1年の年月をかけて国宝の大作を絵絹に模写することが、なされていました。 学生さんたちにとっては、大きいものですと、機械織りでも10万円近い絵絹、たとえ張り込みに少々失敗しても1年間は使わねばなりません。ですので、少々厳重なやり方です。 まず絹枠を買い(作り)ます。 自作の場合は、直角がゆがまないことと、可能な限り歪みの少ない(制作期間中に反ったりもします)木で、接続面に段差のないようにやすりをかけておきます。 東京ですと、世界堂などの店舗で洋画の枠を代用することもお勧めです。 長く使うなら、絹枠として売っている高品質のものを日本画専門店で買われるといいです。 糊を焚きます。 当時大学では生麩糊を焚いていました。 ただし、いい糊を焚くのも最低30分~通常数時間かかる作業です。 絹に関しては、画面にかかる部分ではないので、ヤマト糊などのでんぷんのりで代用してもいいと思います。 絵絹を絹枠に合わせて買います。内寸に画面から最低でも2センチ、できれば5センチほど余白をとったサイズで絹枠を買います。(後で表装する際に、5mm~は必ず切れますし、端は糊が進出したりします) 絹は縦横があるので、注意が必要です。 2丁樋~3丁樋が使われることが多いです。 2丁樋は絹目が粗く、3丁樋の方が詰まっています。お好みです。 絹枠を軽く水拭きします。 絹枠に捨糊をします。 捨糊は、画面にかからないよう2-3mmは抜くと、その後張ってきたときに画面方向に糊が進出しません。 絹枠に絹を置きます。 縦方向は軽い力でピンと画鋲で向かい合わせに張ります。 縦横の絹目がゆがまないよう注意します。 横方向は縮みませんので、できれば二人で、左右を合わせて軽く力を入れて引っ張りながら画鋲で向かい合わせに張ります。 画鋲を避けながら、枠部分の絵絹の上から糊をつけます。 最終的には画鋲を外してもこの糊で接着していてほしいので、たっぷりと刷り込みながらつけます。 糊を乾燥させます(最低2時間~できれば2日程度乾燥させます) 画面に近い場所にメンデイングテープを張ります。 (防水のため) 湯引き(沸騰したお湯を、画面部分に刷毛で引くこと)をします。 お湯で画面がかなり張ります。 背景を塗るように、ただしメンデイングテープの上でやめるように引きます。 (教室では、ここまでの作業を1日で行っています。) 最後に、数日後、晴れた日の日中に、紙の半分から1/3程度の濃度のドーサを表裏に引きます。 ドーサ引きまでの作業が終わり、メンデイングテープを外して糊が乾けば画鋲も外してかまいません。 ここまですれば、しっかりと絵絹が張ったと思います。
by hiro-ikegami
| 2014-09-19 15:34
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