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2008年 08月 10日
唐 李思訓 『江帆楼閣図』。 台北故宮博物館所蔵。 李思訓(653~718年)は唐の宗室の人。官は左武衛大将軍となり、彭国公に封ぜられる。 もっとも丹青をよくし、世に絵事をするものは、李将軍の山水を推した。 世に人のいう、「大李将軍」。 研究用に縮図。 李思訓、またその子、李昭道は、山水をよくし、後に、董其昌によって提唱された、中国山水の、北宗画、南宗画と大別される分類のうちの、北宗画の祖。 北宗画には、趙幹、馬遠、夏珪など、浙派に至る。鋭さの目立つ骨描き、斧劈皴に特長。厳格な画風。 張彦遠の『歴代名画記』に、 「山水の変は呉道玄に始まり、李思訓、李昭道父子に成った。」 とあります。 朱景玄の『唐朝名画録』に、 「明皇、天宝中、忽ち蜀道の嘉陵江水を思い、遂に呉道子に驛駟を仮し、往きて写貌せしむ。回日に及び、帝其の状を問う。奏して曰“臣に粉本なし。並びに記して心にあり”と。のち宣して大同殿にこれを画かしむ。嘉陵江三百余里の山水、一日にして畢る。時に李思訓將軍有りて山水に名を擅にす。帝また宣して大同殿に図せしむ。月を累ねて方に畢る。明皇云えらく“李思訓数月の功、呉道子一日の迹、みなその妙を極めり”と」 とあります。 この話は実際の話ではないようですが、李思訓の、繊細な作業の積み重ねられた画を見れば、伝説の遅筆も頷けます。 大胆な構図。 計算し尽くされ、一瞬も手を抜かずに積み上げられた画面。 中国山水の祖たるにふさわしい堂々たる風格の一点。 下の画像は芥子園画伝より模写。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 古法青緑山水。 皴法(中国山水で石や山の表現に用いる荒い筆のタッチ)のみられる初期の作例。 全体に、展子虔の画風を踏襲している。 波の表現に明らかである。 朱、緑青、染料など。 墨線は変化に富み、画面全体に骨描きの密度が非常に高い。 画風は格調高く、気品が有り、端正。 参考文献:『中国歴代絵画図録』 林樹中 1981 天津人民美術出版社 『国画 中国画速査手冊』 中国画速査手冊編集部 2005 南海出版公司 『台北故宮博物館案内』 清水仁 1999 清水仁 『中国古典文学大系54歴代名画記訳』目加田誠 1974 平凡社
by hiro-ikegami
| 2008-08-10 13:06
| 模写
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